顧客が商品やサービスを購入する際には「この商品は本当に自分に必要だろうか?」など、多くの心理的障壁が立ちはだかります。
売る側がこれらの障壁を突破するためには「プロダクトフロー」を効果的に活用し、顧客が自然に行動を起こすように誘導しなければなりません。
しかし「プロダクトフロー」が何なのか、よく分からないという人が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では「プロダクトフローとは何か」「その重要性と効果的な使い方」について詳しく解説していきます。
顧客の心理的障壁を減らして「買わない理由」を打ち破り、購買意欲を引き出すための具体的な方法を、ぜひマスターしてください。
商品に出会ってから購入まで|プロダクトフローの具体的な流れ
プロダクトフローの具体的な流れは、以下を参考にしてください。
【具体例】
- 商品を知る:テレビCMやネットで商品のことを初めて見る
- 興味を持つ:「へえ、面白そう」と関心を向ける
- 詳しく調べる:店舗やネットで商品の情報をチェックする
- 欲しくなる:「これ、良さそう!」と思う
- 買う決心をする:「よし、買おう!」と決める
- 実際に買う:店舗に行く、ネットで注文するなど
- 使ってみる:「良かった」とか「まあまあかな」など
企業(売る側)は、分かりやすい説明や、無料で試す機会を提供するなどの方法で、1〜7までの流れをスムーズに進めるように工夫します。
このプロセスこそが顧客が持つ心理的障壁を減らし、購入や成約などの最終的な行動へと促す重要な役割を果たすからです。
顧客が途中で購入を迷ったり、諦めたりする結果が多く見られる場合は、プロダクトフローの設計が不十分である可能性を考えましょう。
各段階におけるプロダクトフローへのアプローチ
プロダクトフローをスムーズにゴール(購入や成約)まで進めるには、顧客がどの段階でどんな行動をするかを予測して、彼らの行動や心理に合わせた情報やサポートを提供することが重要です。
顧客に寄り添い、購入を妨げる心理的なハードルを下げていきます。具体例を見ていきましょう。
①顧客が商品を知る段階
ますは顧客に商品やサービスを知ってもらうこと。SNSやインターネット広告などで、視覚的に目を引く宣伝を行いましょう。一目で分かりやすいよう、商品の特徴やブランドをシンプルかつ印象的に伝えるのがポイントです。
【具体例】
インパクトのあるキャッチフレーズや、商品を象徴するビジュアルを重視した宣伝
②顧客が商品に興味を持った段階
顧客が商品やサービスに関心を向けてくれたら、商品のユニークな特徴やメリットを強調するアプローチをかけましょう。顧客が「面白そう」「使ってみたい」と感じる情報やエピソードを紹介すると、効果をリアルに想像できてより効果的です。
【具体例】
動画広告やブログで「これまでにない新機能」や「利用者の感動体験」を紹介
③顧客が詳しく調べ始める段階
顧客が自ら商品やサービスを調べ始めたら、公式サイトや商品のレビュー、スペック情報、FAQ、使い方の動画を提供しましょう。他社製品やサービスとはここが違う!と強みを強調することも大切です。
【具体例】
製品ページにレビューや比較チャートを表示し、他の商品との違いを理解させる
④顧客が商品を欲しくなる段階
顧客が「欲しい!」と感じてくれても、手を抜いてはいけません。お得感や限定性を感じさせるキャンペーンを行い、欲しい気持ちを後押ししましょう。
【具体例】
「期間限定の特別オファー」や「在庫残りわずか」のメッセージを追加
⑤顧客が買う決心をする段階
顧客が買う決心をしたら、購入後の保証やサポートの提供を明確にし、不安を取り除くことが重要です。
【具体例】
「30日間返金保証」や「無料サポート」の案内を提示し、安心感を提供
⑥顧客が商品・サービスを実際に買う段階
顧客が商品の購入手続きに進んだら、簡単な注文フローや支払いオプションを提供し、決済の手軽さや配送の早さを強調しましょう。システムが複雑であれば、購入を諦める要因になります。
【具体例】
「ワンクリック購入」や「即日配送可能」などの利便性をアピール
⑦顧客が商品やサービスを使ってみる段階
購入直後は、使用方法への理解がまだ浅い状態です。購入後のサポートを提供し、使い方の説明や活用方法を案内しましょう。
【具体例】
「使い方のヒント」や「さらに効果的に活用する方法」などのアフターフォローをメールで送信
顧客に寄り添い、不安を取り除きながら商品との出会いから購入までの道筋を整えることがプロダクトフローの本質といえるでしょう。
プロダクトフローの継続的な改善と最適化
プロダクトフローを継続的に改善するには、顧客の声の活用が不可欠です。以下にその方法を説明します。
顧客の声を基にプロダクトフローを改善
顧客の意見を集める方法として、アンケートやレビュー、カスタマーサポートでの対話があります。これらを積極的に実施し、顧客が感じている問題や希望を把握しなければなりません。
次に、収集した顧客の声を基にプロダクトフローのどこを改善するかを決定します。顧客が使いづらいと感じる部分や改善が必要な機能を見つけて、その改善策を立てたうえで実行しましょう。
例えば、顧客から「サイトのナビゲーションが分かりにくい」という意見が多かった場合、その部分を見直して使いやすくする必要があります。
また、「FAQが不足している」という意見を受けた場合は、FAQの内容を充実させることも有効です。
このように、顧客の意見を取り入れることで、プロダクトフローをよりスムーズにし、顧客の満足度を高められます。
テクノロジーの進化に対応
プロダクトフローを効率よく改善するには、最新の流行や技術の進歩に合わせることが大切です。
例えば、AIや機械学習を使うと、顧客一人ひとりに合ったサービスを提供でき、購入までの手順がスムーズになります。
スマホに優しいデザインや、ユーザーが楽しめるコンテンツを活用することも、満足度を高めるのにために適した方法です。
実際に自動応答システムのチャットボットを導入してカスタマーサポートを改善した企業もあり、技術の進化に合わせた対応が成功につながっています。
プロダクトフローの最適化に向けたデータ活用
顧客データを効果的な活用によってプロダクトフローを最適化し、顧客体験を向上させられます。
顧客の行動データを収集するためのツールは、ウェブアナリティクス(Google Analyticsなど)、CRMシステム、ユーザビリティテストツールなどです。
これらのツールを活用して、顧客の訪問履歴や購入履歴の詳細な情報を把握できます。
各ツールの特徴は、以下表を参考にしてください。
ツールの種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
ウェブアナリティクス | ユーザーのサイト訪問履歴や行動を分析するツール 例:Google Analytics | – 詳細なトラフィックデータ(*1)を提供できる – コンバージョン率(*2)の測定が可能 – 無料または低コスト | – データの解釈が難しい – プライバシー問題がある場合がある |
CRMシステム | 顧客との関係管理を支援するツール 例:SalesforceHubSpot | – 顧客データの一元管理ができる – 営業やマーケティングの自動化が実現 – 顧客サポートの改善が可能 | – 導入と運用にコストがかかる – 操作が複雑な場合がある |
ユーザビリティテストツール | ウェブサイトやアプリの使いやすさをテストするツール 例:HotjarCrazy Egg | – ユーザー行動を可視化できる ・使いやすさと見た目の改善点を特定できる – インタラクションデータの収集 | – サンプルサイズが小さいと信頼性が低い – 導入コストがかかる場合がある |
(*1)トラフィックデータ…サイトにどれくらいの人が訪問したかを示すデータ
(*2)コンバージョン率…サイト訪問者の中で、実際に購入や登録などの行動を取った割合
プロダクトフローの改善点の特定
収集したデータを分析することで、顧客がプロダクトフローのどのステージで離脱しているかや、どのコンテンツやアプローチが効果的かが明確になります。
例えば、ランディングページや商品詳細ページの分析結果から、特定のページでの離脱率が高いことがわかれば、そのページの改善が必要です。
また、データに基づく戦略やアクションプランを決定することで、顧客が感じる不安や疑問をスムーズに解消し、より良い「使いやすさ」や「満足感」を提供できます。
まとめ
プロダクトフローとは、顧客が商品を知ってから購入するまでの流れを指します。購入率・成約率アップのポイントは、顧客の不安や迷いを取り除き、この流れをスムーズにすることです。
忘れてはいけないことは、お客様の行動を理解すること。ウェブサイトでの動きや購入履歴を分析し、アンケートや感想を集めて意見を反映させます。
そのあとも常に修正や改善を重ねて新しい技術を取り入れることが、顧客の「買わない理由」をよりスムーズに取り払い、購買意欲を高めていくための鍵となります。